こ【鉄】ちゃん

我が青春の集大成ともいえるJR北海道に遥か彼方、四国から熱きオマージュを捧げ、基本的なデータをまとめてみました。

気動車2

キハ183系気動車
キハ183系気動車オホーツク キハ183系気動車旭山動物園号 キハ183系気動車旭山動物園号 キハ183系気動車サロベツ キハ183系気動車北斗 キハ183系気動車5000番台ニセコエクスプレス キハ183系気動車5100番台クリスタルエクスプレス トマム & サホロ キハ183系気動車5200番台ノースレインボーエクスプレス

基本データ

●起動加速度 ---
●営業最高速度 100km/h(N183系以降は120または130km/h)
●減速度(常用最大) ---
●設計最高速度 ---
●編 成 ---
●編成定員車両定員40(席)
●編成出力 ---
●製造メーカー ---

概 要

 国鉄が開発し、従来の特急形気動車の仕様を再検討し、諸設備の機能向上と耐寒耐雪機能に留意した北海道専用車両として開発され現在はJR北海道、JR九州が保有する特急形気動車である。2001年から経年の進んだ車両が順次淘汰されつつあるが、使用路線の実情を考慮した仕様変更や改造も多数なされ、現在に至るまで道内各路線の特急列車に使用されています。北海道内での使用に留意し、厳しい気象条件に適合した「雪と寒さに強い」特急形気動車として開発が進められ、1979年にキハ183系先行試作車が完成し、1980年から1年半の試用の後、1981年10月から量産車の使用を開始しました。
 1986年11月の国鉄最後のダイヤ改正で、大規模な設計変更がなされたN183系(500番台)が投入され、キハ80系を完全に淘汰し、JR移行後の1988年には走行性能の向上に留意したNN183系(550番台)を投入し、道内特急列車の高速化と設備水準向上を実現しました。
 1980年の千歳線電化時に、北海道の空の玄関口である千歳空港に直結して千歳空港駅(現・南千歳駅)が開業、翌1981年には石勝線が開業し、主に道央地区に開発されたリゾート地への旅客が増加しました。空港とリゾート地を直結する移動手段として専用リゾート列車が製造され、1985年にキハ56系急行形気動車から改造された「アルファコンチネンタルエクスプレス」、1986年にはキハ80系特急形気動車を種車として高速性能の向上を図った「フラノエクスプレス」、1987年には「トマムサホロエクスプレス」が増備され、第4弾目として、さらなるサービス向上を目指して本系列の設計が基本とされ、1992年までに「ニセコエクスプレス」「クリスタルエクスプレス トマム &サホロ」「ノースレインボーエクスプレス」の3編成12両が苗穂工場で新製されました。

運用の変遷・現況

国鉄時代
 試作車は函館運転所に配置され各種試験の後、1980年2月10日から函館~釧路間の特急「おおぞら5・4号」で運用を開始されました。編成は食堂車の5号車は欠車で増結1号車を連結した10両とし、1編成を隔日で使用する体制でした。続いて、量産車が函館運転所・札幌運転所に配置され、1981年10月の石勝線開業時に「おおぞら」「北海」に投入され、翌1982年から「オホーツク」、1983年から「北斗」にも導入を開始しました。
 1985年3月のダイヤ改正では短編成化による増発を実施し、当初車両需給の関係からグリーン車を連結しない編成が存在しました。1986年11月のダイヤ改正ではN183系が36両製作され、札幌運転所に配置し35両は従来型のキハ184形を連結して7編成42両となり、「北斗」「おおぞら」で使用されました。残りの1両はグリーン車で、普通車のみの編成を解消しています。183系の使用開始により、キハ80系は北海道内定期列車での使用を終了し、試作車・基本番台ともN183系に合わせた塗装への変更が開始され、1987年に変更を完了しています。1987年のJR北海道発足時には、試作車12両・基本番台89両・N183系36両の合計137両が承継されました。
JR北海道
 1988年3月のダイヤ改正では「北斗」にて120km/h運転実施のためNN183系28両を製作し札幌運転所に配置して、本区分を主とする改良型のみで組成した編成を使用しました。この編成では電源機関付きのキハ183形1500番台と1550番台を使用し、120km/h運転ができないキハ184形+キハ183形500番台の組は基本番台(0・900番台)の運用に転用されました。
 1991年、「スーパーとかち」用に2階建てグリーン車キサロハ182形が4両投入されましたが、本形式が定期列車用のキハ183系最終増備となりました。1992年に夜行「大雪」が「オホーツク」に、1993年に「まりも」が「おおぞら」に統合された際には寝台車を組成する必要から、14系客車を本系列編成の中間に組み込む対応がなされました。1994年2月に発生した石勝線脱線事故では3両が廃車され、本系列初の除籍車となった。
 1994年3月にキハ281系が「スーパー北斗」に、1997年3月にキハ283系が「スーパーおおぞら」で使用を開始するなど、輸送改善のため後継車両の投入が開始され本系列の使用範囲は縮小に転じ、2000年には宗谷本線系統の特急化で「利尻」「サロベツ」での使用を開始したが、翌2001年にはキハ283系の増備により「おおぞら」での運用が終了しました。同年から老朽により淘汰が開始し、試作車12両は同年中に全車が廃車されて以降、初期車を中心に淘汰が進捗することとなりました。
 2007年にはキハ261系が「とかち」系統で使用を開始し、同系統で使用してきた出力増強改造車なども淘汰の対象となり、利用の振るわない夜行列車の運用も臨時列車化などで運転本数は漸次削減され「利尻」「オホーツク」での運行はそれぞれ2007年9月・2008年3月で終了しました。残存した「まりも」も2008年8月で運転を終了し、本系列の夜行運用は終了となりました。
 2009年10月現在、JR北海道の所属車は函館運輸所・札幌運転所・釧路運輸車両所に配置され以下の列車で使用しています。
 ■「北斗」(札幌~函館)4・5・8・11・14・15・19・20号
 ■「オホーツク」(札幌~網走)
 ■「サロベツ」(札幌~稚内)
 後継となるキハ281系・キハ283系・キハ261系の投入が進み、基本番台を恒常的に使用する列車は「オホーツク」のみとなっています。釧路運輸車両所の所属車はキサロハ182形 (551~554) の4両のみで、営業運転に使用する車両の配置はありません。
ニセコエクスプレス(5000番台)
 製作当初より季節ごとの臨時列車に使用され、臨時特急「ニセコスキーエクスプレス」(札幌~ニセコ)の運用を主とし、夏季では、フラノエクスプレスから変わって、全日本空輸(全日空)とタイアップし、全日空ツアー乗客用の「ANAビッグスニーカートレイン」(札幌-新得))として運行されました。また、臨時特急はこだてエクスプレス(函館-札幌)などに用いられていましたが、近年では臨時特急「フラノラベンダーエクスプレス」(札幌~富良野)日高本線の臨時快速「優駿浪漫」(札幌~様似)にも用いられています。
プロ野球パシフィック・リーグ球団の日本ハムファイターズ(現・北海道日本ハムファイターズ)の北海道フランチャイズ移転前年の2003年12月にファイターズのマークをあしらったデザインとなり、臨時特急「ファイターズ号」として運転されています。
クリスタルエクスプレス トマム & サホロ(5100番台)
 製作当初より季節ごとの臨時列車に使用され、臨時特急「トマムサホロスキーエクスプレス」(札幌~新得)の運用を主とし、夏季・冬季の臨時特急「クリスタルエクスプレストマム&サホロ」(札幌-新得)、近年では「フラノラベンダーエクスプレス」(札幌~富良野)、にも用いられています。
ノースレインボーエクスプレス(5200番台)
 先行した3両による暫定編成で、臨時特急「はこだてエクスプレス」(函館~札幌)として1992年7月に使用を開始し、同年12月に5両編成となりました。最高速度130km/h運転が可能であることから、定期特急列車の輸送障害時に代替で運用されることもありますが、夏季には臨時特急「フラノラベンダーエクスプレス」(札幌~富良野)、冬季には臨時特急「流氷特急オホーツクの風」(札幌~網走)や「ニセコスキーエクスプレス」(札幌~ニセコ)などへ充当され季節を通じ種々の臨時列車に使用されています。本州運用として、「ねぶたエクスプレス」(函館~青森)、「さくらエクスプレス」(函館~弘前)への充当もあります。

形式別概説

初期車(基本番台・900番台)
 客室窓の天地寸法は本州以南向け特急形車両に比べ小さく、同時期に試作された781系電車の仕様を踏襲した耐寒耐雪設備を有し、客用扉は各車とも片側1か所に片開きのものが設けられています。列車の分割併合を前提としておらず、先頭車は特急形電車同様の高運転台式非貫通型で、着雪防止のため「スラント形」と言われる独特の前頭部形状で直線と平面で構成され正面中位が前方に突出しています。灯火類は正面下部左右に前照灯と標識灯と運転台中央の直上部にも2灯の前照灯を設け、塗色はクリーム4号+赤2号の国鉄特急形気動車の標準配色となっています。
 座席は2人掛けの回転リクライニングシートで、普通車の座席間隔は940mm、グリーン車キロ182形の座席間隔は1,160mmとなっています。トイレ・洗面所はキハ183形・キハ184形以外の全形式に設置され、キハ183形には業務用室、キロ182形には車掌室を設置しています。
 900番台は量産に先立って1979年に12両が製作された試作車で、量産車と仕様を統一する量産化改造がなされて量産車と完全に混用されていましたが、老朽や余剰のため2001年9月までに全車が廃車となりました。量産車は1981年~1983年に4形式合計89両が製作されました。
キハ183形

  キハ183形国鉄色キハ183形国鉄色  キハ183形新国鉄色キハ183形新国鉄色
  キハ183スーパーとかちキハ183スーパーとかち

 運転台をもつ普通車で、発電装置を収納する機器室を車体前位に設けられ、トイレ・洗面所は設けず、定員は40名となっています。
試作車 (901~904)
 1979年に4両が製作され、業務用窓は開閉が可能となっています。正面下部のスカートは裾部に折り曲げ加工がなされています。
量産車 (1~20)
 1981年から20両が製作され、業務用窓は固定式、正面下部のスカートは裾部の折り曲げをなくし、簡素な形状となっています。
キハ182形

  キハ182形国鉄色  キハ182形新国鉄色  キハ182スーパーとかち

 編成の中間に組成される運転台のない普通車で、トイレ・洗面所が設けられ、定員は68名となっています。
試作車 (901~906)
 1979年に6両が製作されました。
量産車 (1~48)
 妻面と側面腰板部の通風口が大型化され、1981年から48両が製作されました。
キハ184形

  キハ184形国鉄色  キハ184形新国鉄色

 運転台のない普通車で、発電装置を収納する機器室が車体後位に設けられています。
試作車 (901)
 1979年に1両が製作され、1985年にグリーン車キロ184形(キロ184-901)に改造されました。トイレ・洗面所が設けられ、定員は44名となっています。
量産車 (1~11)
 定員を確保するため試作車から構造を見直され、トイレ・洗面所を廃止し定員を52名に増加して1981年から11両が製作されました。1985年に4両が運転台が取り付けられキハ183形100番台に改造されましたが、老朽化および余剰により淘汰が進み、残存3両 (2・7・8) の2007年度除籍を以って全車が廃車となりました。
キロ182形

  キロ182形国鉄色  キロ182形新国鉄色

 本系列のグリーン車で、室内の一部を供食設備として使用されました。
試作車 (901)
 1979年に1両が製作され、車体の端部に客用扉を設け定員は40名となっています。量産化改造時に車販準備室が拡大され、量産車と仕様が統一されましたが、客用扉の移設は行われませんでした。2001年に廃車され区分が消滅ました。
量産車 (1~10)
 新幹線ビッフェ車レベルのコーヒーメーカー・流し台・電子レンジ・炊飯器等の調理・厨房用設備および売店が設置されるなど供食設備の大幅な拡充が行われ、1981年から10両が製作されました。試作車の車端部にあった出入台が車体中央部寄りに移設され、荷物積込み口が新設されましたが、客室の定員は32名に減少しています。1996年に5両がキロハ182形へ改造、2001年までに4両が廃車されてキロ182-9の1両のみが残存しています。
500番台・1500番台(N183系)
 性能と内装設備の向上および製造コスト低減を図り各部の仕様が変更され、車両番号は500番台、1500番台を付番して区別され1986年に新潟鐵工所(現・新潟トランシス)および富士重工業で36両が製作されました。車体は同時期に四国に導入されたキハ185系の鋼製車体版で、新183系、N183系ともいわれます。
 道内特急の短編成化を実施するため、基本番台の中間電源車キハ184形を編成に組み入れる運用が再検討され、電源機関付きのトイレ・洗面所なしキハ183形1500番台、電源機関をもたず大出力の走行用機関を搭載し、トイレ・洗面所つきのキハ183形500番台とキハ183形は2種類が製作されました。電源装置のないキハ183形500番台はキハ184形とペアで運用され、既存の電源装置が活用されることとなりました。最高速度は110km/hとされましたが、将来の速度向上に備えて機器類は最高速度120km/hに対応した設計とされています。
 先頭車のキハ183形は増結・切離しが臨機応変に行える貫通型の前頭部構造とされ、室内空間の1/3を占めていた発電装置を小型化して床下に移すことにより客室空間が拡大しました。灯火類は正面中位左右に前照灯と、正面上部左右に保護ガラスで覆われた前照灯・標識灯を設け、塗色は地色が白色・橙色と赤色の帯を正面と側面下部に配し、側窓周囲を黒色とした配色に変更されました。また、床下機器・台車については落成時は灰色とされましたが、後に黒に再塗装されています。側窓は天地寸法が拡大された上で連続窓風の外観処理がなされました。グリーン車は寝台車並みに天井高さを上げ、客室窓は、上部を曲面とした大型ガラスを用いて眺望を重視されました。
 内装は明るめの色になり、仕切ドアの色は先頭車は青色、普通車は黄色、グリーン車は緑色、座席は、普通車は薄茶色の地にオレンジと黒の帯、グリーン車の座席は緑色となっています。
キハ183形(501~507, 1501~1507)
 N183系の運転台つき普通車で、500番台はトイレ・洗面所を設け、座席定員は60名、1500番台はトイレ・洗面所は設けず、座席定員は68名となっています。
キハ182形(501~514)
 N183系の中間車で、トイレ・洗面所を設け、座席定員は68名となっており、1986年に14両が製作されました。
キロ182形(501~508)

  キロ182形500番台新国鉄色  キロ182形500番台HET塗装

 1986年に8両が製作されたグリーン車で、側窓は上部が屋根肩に達する曲面ガラスを採用し天地寸法1,000mmと大型となっています。座席配置は従来車と同じ 2+2 列の配置で、洗面台は普通車のものとは差別化されてテレホンカード式電話機も設置されました。
キサロハ182形(551~554)

  キサロハ182形スーパーとかち塗装

 N183系列の2階建車両付随車で、1991年に4両が日立製作所で製作されました。キサロハ182-5101(クリスタルエクスプレス)を基本としたダブルデッカー車で、1階にオーディオ装置、室内灯スイッチ、暖房調節装置が設置され、置転換可能なソファタイプの座席を設けた2人用普通個室を5室(定員10人)、2階はオーディオ装置が設けられた変則2+1列のグリーン室(定員24人)となっています(過去には背面に液晶テレビも設置されていました)。前位側にトイレ洗面所の一体化ユニット・男子小トイレ・電話室、後位側に出入り台と車掌室が設置されています。前位側の外部両側面に「SUPER TOKACHI」の大型ロゴが入っていましたが、後にHET色に準じた配色に変更された際に大型ロゴは「HET183」に変更されました。
 1991年7月に新設された特急「スーパーとかち」に使用されましたが、キハ283系が投入された2000年3月にキサロハ182形の連結有無に関係なくキハ183系使用列車を「とかち」に改称し、「おおぞら」にも使用されるようになりました。2001年に札幌~釧路間の昼行特急列車がすべてキハ283系に統一され、用途がなくなり現在は全車が釧路運輸車両所で保留車となっています。
550番台(NN183系)
 550番台(NN183系)は、JR移行後の1988年3月改正から函館本線で最高速度120km/h運転を行うために1988年~1990年に28両が富士重工業で製作されました。キハ183形・キハ182形のみで、グリーン車は製作されませんでした。500番台車を基本に、高速運転のため機関出力の増強・台車の変更が行われた他、客室ドアの窓の大型化など客室設備のグレードアップも図られています。
 車体構造は500番台とほぼ同様で、外部塗色もN183系と同一の配色ですが、台車・床下機器は当初より黒色となっています。
キハ183形(1551~1566)

  キハ183形550番台新国鉄色  キハ183形550番台HET塗装

 キハ183形1500番台の機器構成を踏襲し、トイレ・洗面所を装備しない座席定員68名の運転台つき普通車です。キハ183-1555以降の車両は、室内の座席種別等各種表示の変更、客室仕切ドアガラスのプライバシーガラスへの変更、客室側窓枠の形状変更等細かい仕様変更が見られます。
キハ182形 (551~562)

  キハ182形550番台新国鉄色  キハ182形550番台HET塗装

 1988年~1989年に12両が製作された中間車です。洗面所の仕様を変更し男子用の小便所を新たに設置されました。1988年度製 (555~) 以降の車両はキハ183形 (1555~) と同様の仕様変更や洗面所・小便所の改良がなされました。
5000番台(ニセコエクスプレス)
 千歳空港とニセコを結ぶ団体・臨時列車(スキー列車)への運用を主目的として、JR北海道苗穂工場で新製され1988年(昭和63年)から運用されたリゾート列車のひとつです。キハ183系気動車をベースとした初のリゾート車両で、キハ183系最終増備車(NN183系)を基本とした仕様の走行装置で最高速度120km/hに対応し、ニセコ方からキハ183-5001~キハ182-5001~キハ183-5002の3両編成されています。また、冷房装置は取外し可能な床置き式で、冬季には取外し後の空間をスキー板等の大型荷物置き場として使用できるようになっています。
 前頭部は大型の曲面ガラスを採用した流線型とし大きく傾斜しています。密閉性向上と車体側面の平滑化による着雪防止を図り、JR初のプラグドアが採用されています。  座席はリクライニングシートが一般用よりもわずかに広い960mm間隔でレイアウトされています。当初は各座席に液晶式モニターが設置されていましたが、2004年のシートモケット張替の際に撤去され、オーディオサービスのみ存置されています。
キハ183形(5001・5002)
 運転台付の普通車で、5001は函館方に、5002は旭川方に組成(札幌駅基準)されます。トイレ・洗面所を設けられ、定員は48名となっています。
キハ182形 (5001)
 運転台はもたず編成の中間に組成される普通車で、5001の1両のみ製作されました。車販準備室・電話室が設けられ、定員は56名で、編成全体に電源を供給する発電機を搭載しています。
5100番台(クリスタルエクスプレス トマム & サホロ)
 石勝線方面への観光輸送を主目的として団体・臨時列車用として企画し、苗穂工場で新製され1989年(平成元年)から運用された「リゾート列車」のひとつです。同社保有の気動車ジョイフルトレインとしては5番目の編成で、当初は キハ183-5101~キハ182-5101~キハ183-5102の3両編成で登場しましたが、翌1990年12月に2階建てのキサロハ182-5101を増結して4両編成となりました。1990年度の通商産業省グッドデザイン商品(現・日本産業デザイン振興会グッドデザイン賞)に選定されています。
 「全面展望」を設計コンセプとし、先頭車のキハ183形は、先頭部を乗客に開放するため運転室を2階に上げ、客席部は床面を上げたハイデッカーとして側窓も屋根肩にまでかかる曲面ガラスとなっています。中間車のキハ182形は、車体断面をさらに大きくとって屋根肩部に天窓を設けるとともに妻部にも窓を設けた「ドームカー」として360度の展望が確保されています。
 座席はバケットタイプのリクライニングシートで、定員はキハ183形が展望席8人を含む44人、キハ182形が56人となっています。各席にシート液晶モニターが設置されていましたが、2003年に撤去されて各車車端部と展望室ならびにグリーン個室に大型液晶モニターが設置されています。
 走行装置は「ニセコエクスプレス」同様NN183系に準じた仕様で、最高速度は120km/hとなっています。
 1990年12月に増備された キサロハ182-5101は、日本初の2階建ての気動車列車車両で、2階客席は普通席の4人用のボックスシートを7組、1階にはソファタイプシートの4人用のグリーン個室3室が設置されています。2階部分と平屋部分車端部の2か所にラウンジを設け、平屋部のラウンジには妻面にかかる曲面ガラスを設けて斜め方向の展望が確保されています。なお、2010年時点でグリーン個室は形式はキサロハのままで普通個室扱いになり、山陽新幹線の「ひかりレールスター」で運行される列車と同様な利用制度になっており、フルムーン夫婦グリーンパスでも利用可能となっています。
 2010年1月に函館本線妹背牛~深川間で発生した789系電車1000番台(スーパーカムイ)の踏切障害事故を鑑みて、展望席については、同年6月5日に運行された「フラノラベンダーエクスプレス」から座席をすべて撤去した上で乗客が立ち入らないよう仕切扉が設置されました。
5200番台(ノースレインボーエクスプレス)
 JR北海道が従前より団体列車等に使用してきたキハ56系気動車「アルファコンチネンタルエクスプレス」の置換え用として計画された編成で、同社6番目のリゾート編成として自社苗穂工場で新製されて1992年(平成4年)から運用されました。愛称は公募により決定され、函館方から キハ183-5202~キハ182-5201~キハ183-5201の3両編成で1992年7月に運転を開始しましたが、 同年12月にキハ182-5251とキサハ182-5201が追加され5両編成となりました。
 客室は展望性を重視して高床式を基本として、中間に2階建て車両が連結されました。天窓が設けられ、側窓は屋根肩にまでかかる曲面ガラスとなっています。基調色を前述の編成順にラベンダー・ブルー・ライトグリーン・オレンジ・ピンクの順で各車両ごとに異なる設定とし、内外装の配色は同一系統の色調で揃えられています。
 青函トンネル通過対策が実施されており、電気機関車牽引により本州への乗り入れが可能、また、1994年3月の函館本線特急高速化に先行して一般のNN183系より先に最高速度130km/hに対応しています。
キハ183形 (5201・5202)
 編成の両端に連結される運転台付きの普通車で、車体帯色は5201がピンク、 5202がラベンダーとなっており、定員は47名です。キハ183-5201は1997年2月の踏切事故で破損し、修理復旧の間の代用車両としてキハ183-1が使用されました。

キハ182形 (5201・5251)
 編成の中間に連結される普通車で、5201は車体帯色がオレンジ、1992年12月に追加組成された5251の車体帯色はブルーとなっており、定員はいずれも60名です。

キサハ182形 (5201)
 1992年12月に追加組成された編成の中間に連結される付随車で、車体帯色はライトグリーンとなっています。1階部分にラウンジ・ビュッフェ、2階部分を客室とする2階建車両で、定員は36名となっています。

改 造

国鉄時代
試作車の量産化改造
 1982年(昭和57年)~1984年(昭和59年)に12両の試作車に対して、運用上の取扱い共通化のため各部仕様を量産車に合わせる改造が施工されました。

編成短縮対応
先頭車化改造(キハ183形100番台)

  キハ183形100番台初期塗装キハ183形100番台初期塗装 キハ183形100番台キハ183形100番台
  キハ183形100番台新国鉄塗装キハ183形100番台新国鉄塗装 キハ183形100番台HET塗装キハ183形100番台HET塗装
  キハ183形100番台スーパーとかち塗装キハ183形100番台スーパーとかち塗装

 1985年3月ダイヤ改正での編成短縮に伴い不足する先頭車を補うため、中間車キハ184形を先頭車(キハ183形)後位に運転台を新設改造がされました。
 運転台は在来のキハ183形とは形態が異る分割併合に対応する貫通型で、100番台を付番して区別されました。トイレ・洗面所を装備せず改造後の定員は40名となりキハ183形初期車と同一になりました。改造施工工場ごとに正面貫通扉上部付近の手すりの取付け方が異なり、五稜郭工場施工車(101・103)は縦、苗穂工場施工車(102・104)は横配置となっています。外部塗色は当初、前頭部の正面~側面下部を赤2号とするキハ183形基本番台に準じた塗り分けでしたが、短期間で変更されて正面中央に翼状の意匠を配したキハ82形類似の塗り分けとなりました。
 ■キハ184-1・4・3・5→キハ183-101~104
グリーン車化改造(キロ184形900番台)
 1985年3月改正ではグリーン車も不足するためにキハ184形試作車(901)がグリーン車に改造されました。座席をグリーン車用のリクライニングシートに交換し、電源用機関を撤去し機器室を車販準備室に改装され定員は32名となりました。
 更に1988年度に内装更新が行われて、車販準備室の拡大と車掌室が設置され座席配置を2+1列に変更して定員24名となりキロ182形との設備統一がなされました。
 ■キハ184-901→キロ184-901

110 km/h 運転対応
 1985年6月以降、試作車・基本番台を対象に機関出力の増強とブレーキの強化改造が行われ、最高速度を100km/hから110km/hに向上するための対応が行われました。

JR北海道
グリーン車(基本番台)内装更新
 1987~1988年に、N183系の導から陳腐化が目立っていたグリーン車キロ182形基本番台の内装更新工事が実施されました。客室内張りや敷物の張り替えやトイレ・洗面所の更新が行われたほか、座席は配置を2+1列に変更したうえ各席に液晶ディスプレイが設置されました。施工後の定員は24名となり、車掌室にはカード式公衆電話も設置されました。
 ■キロ182-1・5・7~9、キロ184-901

「北斗」向け改造
130 km/h 運転対応改造(2550・3550番台)
 キハ281系による特急「スーパー北斗」が1994年3月ダイヤ改正から運転開始されることに合わせ、本系列を使用する一部の「北斗」で最高速度130km/hでの運転を実施するために改造されました。ダイナミックブレーキを装備するN183系(キロ182形500番台)NN183系(キハ182形550番台・キハ183形1550番台)を対象にブレーキ装置を強化する改造が行われましたが、改造実施車はブレーキ圧力が在来車と異なるため、未施工車との混結はできなくなりました。
 形式番号は、キハ182形・キハ183形は 原番+2000 、キロ182形は 原番+2050 の付番とされました。
 ■キハ183-1559・1563~1566→キハ183-3559・3563~3566
 ■キハ182-551~562→キハ182-2551~2562
 ■キロ182-501~503→キロ182-2551~2553
従来車混結対応改造(4550番台)
 1993年~1994年に、在来車と共用で予備車を確保するためにキハ183形の一部を130・120 km/h両用仕様とする改造が実施され、車号は原番+3000を付番しました。
 ■キハ183-1558・3559・1560~1562 → キハ183-4558~4562
グリーン車(500番台)内装更新
 「北斗」用のグリーン車キロ182形(500番台)を対象に、キハ281系のグリーン車と設備をあわせるための内装更新が行われました。客室内は完全禁煙とされ、座席配置を1+2列に変更し定員は24名に減少しました。また、それに伴い車掌室横の荷物室を撤去して喫煙コーナーが設置されました。対象は501~507の7両で、501~503は 130 km/h 運転対応を併せて実施し、2551~2553が付番されました。
内装更新・塗装変更 (HET183)
 上記の130km/h対応改造車を含め「北斗」に使用する本系列全車に対して、座席やカーテンの取替えなどキハ281系に準じた内外装の改良が行われました。また一部の車両はキハ283系でも導入されているグレートアップ指定席に変更され、各車両の定員は2名減となりました。また、近年、全車両に自動放送装置も搭載されました。
 施工車の外部塗色はキハ281系の意匠に合わせた配色とし、地色がライトグレー、前頭部とデッキ周囲がコバルトブルー+萌黄色の塗り分けに変更されて、客室窓直下にラベンダーパープル+萌黄色の帯が配されました。また、運転台側面には"HET183 Hokkaido Express Train 183" のロゴマークが配されました。
最高速度の識別表記
 「北斗」向け130km/h対応改造後は、最高速度の異なる車両を同一編成に混用できなくなったため、速度種別を明確にし列車組成の相違を防ぐために本系列の全車の各車両正面・妻面下方に、130km/h対応改造車は「130」、混結対応車(4550番台)は「130/120」、その他の車両は各々の仕様毎に「110」「120」と最高速度が表記されました(リゾート用車両は対象外)。

「とかち」「オホーツク」向け改造
車掌室設置改造(キハ183形)
 1990年9月に新設された特急「とかち」ではグリーン車を連結しないため、同列車に運用されるキハ183形(基本番台)の業務用室を車掌室・電話室に改造し、編成中に車掌室を確保するための改造が実施されました。この改造に伴う車号の変更はありません。
 ■キハ183-17~20
「スーパーとかち」用グレードアップ
 1991年7月に新設された特急「スーパーとかち」に対応する改造で、指定席車として使用する普通車(基本番台)12両の座席を785系電車と同等のバケットシートに交換し、内装材が更新されました。外部塗色は同時に製作されたキサロハ182形に合わせて、濃淡グレーにラベンダーパープル+萌黄色の帯を配した意匠に改められました。
 当該列車では編成中に付随車キサロハ182形を含むことから、NN183系(キハ182形550番台)を組成して編成全体の機関出力を補われました。NN183系の組込車は外板塗色の変更のみの施工で、内装の更新は行われていませんでした。
 ■キハ182-16・17・19・20 キハ183-7~10・17~20
 ■キハ182-553~560
「オホーツク」用グレードアップ
 1992年3月ダイヤ改正にあわせて特急「オホーツク」用車両の設備更新を行ったもので、「スーパーとかち」用とは異なり、座席自体の交換は実施せずモケットのみ交換されました。外部塗色は、予備車共通化のため「スーパーとかち」用と同様のものに改められましたが、先頭車の塗り分けは若干異なっています。同列車に組成されるキハ182-561・562、およびキロ182形については内装の更新は実施されず外板塗色のみをが変更されました。
 ■キハ182-41~48・561・562
 ■キハ183-11~16・901~904
 ■キロ182-2~4・6・10・901
出力増強改造(キハ183形200番台)
 1992年に夜行特急「オホーツク9・10号」に寝台車スハネフ14形を組成するためにキハ183形(基本番台)の駆動系増強が行われました。機関は「ノースレインボーエクスプレス」(5200番台)で採用されたものに交換されました。ブレーキ装置の仕様は変更されず、最高速度は110km/hのままで、車号は原番号に200を加えた付番となっています。「北斗」の130km/h運転用にNN183系を転用するため、1993年からは「スーパーとかち」用にも同一の改造が行われました。
 ■「オホーツク」用:キハ183-11~15→キハ183-211~215
 ■「スーパーとかち」用:キハ183-7~10・17~20→キハ183-207~210・217~220
出力増強改造(キハ182形200番台)
 「北斗」の130km/h運転用にNN183系を転用するため、1993年に「スーパーとかち」用キハ182形(基本番台)の駆動系を新型の機関に換装するなど増強が行われました。ブレーキ装置の仕様は変更されず、最高速度は110km/hのままで、車号は原番号に200を加えた付番となっています。「とかち」系統へのキハ261系1000番台投入で用途がなくなったため、2007年度中に全車が廃車されました。
 ■キハ182-24~27→キハ182-224~227
キロハ182形
 特急「オホーツク」の利用率の低いグリーン車の輸送力適正化と利用の季節波動の大きい普通車の増結の抑制・運用の合理化を図るため、1996年にキロ182形(基本番台)の車販準備室を普通客室に転用した改造がされました。新設された客室内には普通車用リクライニングシート16人分を設置し、グリーン室の座席をキハ281系に準じた2+1人掛けのものに交換するとともに、車掌室寄りの1列分を喫煙室に転用しました。これにより、グリーン室の定員は21人となり、車号は原番号を踏襲し、形式のみ変更されました。
 ■キロ182-2~4・6・10→キロハ182-2~4・6・10
車販準備室設置(キハ183形200番台)
 キロハ182形への改造に伴って、「オホーツク」編成中の車販準備室を確保するためにキハ183形の業務用室を車販準備室に改造し、業務用冷蔵庫やコーヒーメーカーの設置が行なわれました。改造前の業務用室部分から隣接する客室部分へ行先表示器が移設されました。その後「スーパーとかち」に使用される車両にも同様の改造が行なわれましたが、改造による番号の変更はありません。
 ■キハ183-211~215(オホーツク用)・207~210(スーパーとかち用)

「おおぞら」向け改造
グレードアップ改造
 1997年3月ダイヤ改正の特急「スーパーおおぞら」運転開始に合わせ、特急「おおぞら」用車両の床敷物・カーテン・仕切戸化粧板の更新、普通車の座席モケット張り替え、グリーン車の喫煙コーナー設置・座席の液晶ディスプレイを撤去するなどの内外装が更新されました。一部の車両では座席がキハ283系と同一のものに交換されました。外部塗色は「北斗」系統の車両と同一の「HET183」色に変更されましたが、キハ183形のスカートは「北斗」系統の車両と異なり青色となっています。
【座席交換車】
 ■キハ182-1~5・10・11
 ■キハ183-1551~1554・501・503~505
 ■キロ182-1・5・7
 ■キロ184-901
 ■キハ184-2・6~8
【モケット張替車】
 ■キハ182-6~8[20]・12~15・28・29
 ■キハ183-101~103
回送運転台設置改造(キハ182形100番台)
 「おおぞら」系統において柔軟な輸送力調整を行うため、途中駅での分割併合が行えるよう中間車のキハ182形に回送用運転台を新設する改造が行われました。1996年~1997年に3両が改造され、施工車は番号に100が加えられました。出入り台を移設して運転台を設置し、客室定員は8人減少して60人となりました。新設された運転台は、回送用とはいえ前照灯や尾灯のみならず列車防護無線装置や自動列車停止装置 (ATS-SN) といった保安装置など本線運転が可能な設備を完全に備えたもので、札幌駅~札幌運転所間などの回送時にも速度制限を受けることがない仕様となっています。「とかち」系統へのキハ261系1000番台投入で用途がなくなり、2007年度中に全車が廃車されました。
 ■キハ182-6~8→キハ182-106~108

宗谷本線系統の改造車
キハ400系への組込改造  老朽化したお座敷車キロ29形・キロ59形の取替え用としてキハ400形3両をお座敷車に充当するための補充措置として、キハ400形気動車を使用する宗谷本線系統の急行列車に組成するために1997年にキハ182形が改造されました。電源装置を搭載するため客室の一部を機器室に転用したため、定員は16人減少して52人となり、外部塗色はキハ400系と同一の濃淡グレー+赤帯とされました。この改造による車両番号の変更はありません。急行「宗谷」「サロベツ」「利尻」の指定席車として使用されてきましたが、2000年3月の宗谷本線高速化完成による急行の特急格上げで用途がなくなったため、2002年度に全車が廃車されました。
 ■キハ182-36~38
特急「サロベツ」・「利尻」用改造
 2000年3月の高速化完成により、宗谷本線に4往復の特急列車が新設され、2往復の「スーパー宗谷」には新製のキハ261系を使用し、「サロベツ」「利尻」の各1往復に本系列を使用することとなり改造が施されました。当該列車に使用する編成は、座席の配色が稚内方から1両ごとに赤・緑・青で統一された新品に交換されるなどキハ261系に準じた内装に改装されました。
 指定席として使用されるキハ183-1501~1503とキハ182-501~503は座席間隔が従来の940mmから1,040mmに拡大され、稚内方先頭車となるキハ183-1501~1503ではデッキ側の座席3列分を撤去してトイレ・洗面所と清涼飲料水の自動販売機が設置されることで、定員はそれぞれ68人からキハ183-1501~1503は48人に、キハ182-501~503では60人に減少しています。
 後年はさらに、デッキと客室間の自動ドアのタッチセンサー化・貫通扉のオートクローザー機構設置が行われ、指定席用の6両では暖房装置の強化も行われています。
 ■キハ183-1501~1504・1555・1556 キハ182-501~503
その他の改造
客室窓破損防止改造
 2000年頃より冬季の窓ガラス破損事故が多発したため、最高速度 120 km/h 以上に対応するN183系・NN183系の全車を対象として、破損防止のため客室窓にポリカーボネート板を追設する工事が行われました。基本番台では側窓にフィルムを貼付する対策が実施されましたが、ポリカーボネート板の追設工事が順次行われています。
トイレの洋式化改造
 お座敷車、および「サロベツ」・「利尻」用改造車では真空式汚物処理装置による洋式トイレへの改造を行われましたが、引き続き2001年から一部の車両についても真空式の洋式トイレを設置する改造が行われました。
 ■キハ182-39~48・224~227・504~513・2551~2562
 ■キハ183-501・503~506
 ■キロ182-504~508・2551~2553
 ■キロハ182-2~4・6・10
 2006年からはトイレの洋式化とともにおむつ替え用台と赤ちゃんホルダーが設置され、従来の洗面所・隣接する自動消火装置を撤去し小便所と扉つきの洗面所が新設されました。また、洗面所にはエアータオルと更衣用の踏み台、赤ちゃんホルダーが新たに設置されています。
 ■キハ182-3・11・16・21~23・29~31
観光・団体・臨時運用への対応
「フラノエクスプレス」増結
 キハ80系のリゾート編成「フラノエクスプレス」への増結用車両として、1990年1月からキハ184形の制御回路をキハ80系の仕様に変更し使用されました。対象となったのはキハ184-11の1両で、幌の高さや外板塗色を同編成に合わせる変更が実施され本車を組成した5両編成で運用されましたが、同年中に増結運用を終了し一般の仕様に復元されました。
「ちゃいるどさろん」(キハ183形)
 「おおぞら」に使用するキハ183-3の前位側20名分の座席を撤去し、子供向けの遊び場「ちゃいるどさろん」としてカーペット敷きの空間を設ける改造が995年から実施されました。1998年には臨時「オホーツク夏休み」号に使用するキハ183-5・6に同様の改造が行われましたが、この2両は同列車の運転終了後に一般の座席へ復され、キハ183-3は2007年に「旭山動物園号」編成の1両として再改造されています。
「ノースレインボーエクスプレス」代用(キハ183形)
 1997年2月に根室本線内で踏切事故に遭遇した「ノースレインボーエクスプレス」編成の先頭車キハ183-5201を修理復旧するため、外部塗装がキハ183-5201に準じたものに変更された一般車のキハ183-1キハ183形が代用として使用されました。青函トンネル通過対策として運転台側のスカートに元空気だめ管の引き通しが追加されましたが、キハ183-5201の修理復旧後すぐに「とかち色」に復し、一般の運用に復帰しました。
お座敷車(6000番台)
 JR北海道が従来より使用するお座敷車(急行形気動車改造)は最高速度95km/hであり、団体臨時列車での使用時に所要時間が長くなる難点があったため、特急形の本系列N183系から2両、 NN183系から1両の3両がこれらに使用する車両を高速化するため1999年に改造されました。N183系の2両は走行用機関と変速機がNN183系と同一仕様に変更され、130km/h運転対応を全車に実施、120km/h車とのブレーキ切替機能も装備され、他の本系列全車としています。
 閑散期には定期特急列車に併結して使用することも考慮されて、団体臨時列車として単独編成で使用するのみならず、団体使用時は床面を完全にフラットにもなりますが、定期列車併結時には車内販売や乗務員の往来のため中央部に通路を設けることができる構造で、左右に2人用と4人用の座卓が設置されています。定員はキハ183形が団体使用時46人、キハ182形が56人ですが、定期列車併結時には、それぞれ36人・42人となります。
 ■キハ183-507 → キハ183-6001
 ■キハ182-514 → キハ182-6001
 ■キハ183-1557 → キハ183-6101
国鉄色復元
 臨時用として函館運輸所に配置される本系列のキハ183・キハ182それぞれ2両が、2001年に赤2号+クリーム4号の「国鉄色」へ復元されました。次回検査までの一時的な措置とされていましたが、検査後も引き続き国鉄色のまま使用されるものの2010年3月に廃車となりました。
 ■キハ183-1・2 キハ182-1・2
「旭山動物園号」編成
 2007年に五稜郭車両所で、旭山動物園(旭川市)へのアクセス輸送に使用する車両について内外装の改装工事が実施され、週末やゴールデンウィーク・夏休みなどを中心に臨時特急「旭山動物園号」として運行されています。当初は4両編成で使用開始されましたが、2008年4月28日から「オオカミ号」を追加して5両編成で使用されており、2009年現在全車ともポリカーボネート板の追設工事も実施済みです。
 旭山動物園の元飼育係で絵本作家のあべ弘士がデザインを手がけ、旭川側から1号車「ホッキョクグマ号」(キハ183-3)、2号車「オオカミ号」(キハ182-46)、3号車「ライオン号」(キハ182-47)、4号車「チンパンジー号」(キハ182-48)、5号車「ペンギン号」(キハ183-4)と名づけられ、それぞれの動物の親子などの絵が描かれています。接客設備にも種々の改装がなされており、車内メロディは童謡『森のくまさん』が用いられ、各車両には動物をかたどった記念撮影用の「ハグハグシート」が設置されています。1号車のキハ183-3は旧「ちゃいるどさろん」の空間を転用し、カーペット敷きで子供が靴を脱いで遊べる「モグモグコーナー」に改装され、5号車のキハ183-4は業務用室部分を転用した授乳室を備えています。
駆動系適正化改造(400番台)
 「とかち」系統へのキハ261系投入により余剰となったN183系のうちキハ183形2両とキハ182形4両に対して団体・波動輸送用として機関出力の低減・適正化(パワーダウン)改造が行われました。外観の変更はなく、車号は原番号から100を引いた付番とされて6両全てが函館運輸所に所属しています。
 ■キハ183-505~506 → キハ183-405~406
 ■キハ182-504~506・513 → キハ182-404~406・413

キハ261系気動車
キハ261系気動車 キハ261系気動車1000番台

基本データ

●起動加速度 ---
●営業最高速度 130km/h【名寄以北は車体傾斜制御装置を停止(最高速度95km/h)】
●減速度(常用最大) ---
●設計最高速度 140km/h
●編 成 ---
●編成定員204名(4両編成)
●編成出力 460ps/2100rpm ×2基
●製造メーカー 川崎重工業・JR北海道苗穂工場

概 要

 JR北海道が宗谷本線・石勝線系統の特急列車に使用するため、高速性能の確保と運用コストの適正化の両立に留意して開発し、2000年(平成12年)から運用されている特急形気動車です。本系列の最初のグループは、第三セクターの「北海道高速鉄道開発」を事業主体とした宗谷本線の高速化事業にあわせて製作されました。路線改良工事が1997年(平成9年)に開始され、2000年(平成12年)に旭川~名寄間の工事が竣工し、同年3月11日に札幌~稚内間の特急「スーパー宗谷」で営業運転を開始しました。
 大出力の駆動機関と車体傾斜制御装置が搭載され、最高速度130km/hの営業運転および曲線通過速度の向上を可能とした本系列の投入により、札幌~稚内間の所要時間は従来の急行「宗谷」などの約5時間50分から、最速4時間58分にまで短縮されました。現在までに14両が製作・運用され、2006年(平成18年)には、石勝線系統の特急列車高速化のため、一部の仕様を変更した1000番台が製作されて2007年(平成19年)10月より、札幌~帯広間の特急「スーパーとかち」で使用されています。

運用の変遷・現況

基本番台
 ■特急「スーパー宗谷」(札幌~稚内)
 本系列は先頭車+中間車の2両で1ユニットを構成し、編成番号もこの2両単位で識別記号「SE」を車両番号に冠し付番されています。札幌方の編成(SE-100)+稚内方の編成(SE-200)で組成した4両編成を基本として使用され、増結時は基本の4両編成に別の2両ユニットを増結した6両編成となり、増結形態によって号車番号と車両設備の対応が異なります。
 使用開始時点では増結運用時の予備車がない4両基本編成3本のみで運用されていましたが、2001年(平成13年)に1ユニット2両(SE-104編成)が追加製作され、14両全車が苗穂運転所に配置され運用されています。
1000番台
 ■特急「スーパーとかち」(札幌~帯広)1~4・6・7・9・10号
 ■「ホームライナー」(手稲~札幌)回31D
 基本番台と同様、先頭車+中間車の2両で1ユニットが構成され、編成番号は2両単位で識別記号「ST」を車両番号に冠し付番されています。増結用の中間車キハ260形1300番台を基本編成の中間に1両連結し、5両編成を基本として営業運転されており、製作された13両全車が札幌運転所に配置されています。

形式別概説

基本番台
 1998年(平成10年)から宗谷本線系統の特急列車に使用するため製作された区分で、北海道高速鉄道開発が所有しJR北海道がリースを受ける使用形態ですが、2001年(平成13年)製作の2両(SE-104編成)のみはJR北海道の自社所有となっています。
 車体は軽量構造のステンレス製、前頭部のみ普通鋼製となっており、振子装置をもたないため車体の絞込みが小さく、客室窓下辺から上方が台形状に窄まる車体断面になっています。客用扉は先頭車が片側2箇所、中間車が片側1箇所に設けられており、氷雪の侵入凍結による開閉不良を防止する構造となっています。前面に貫通扉を設けた高運転台式の前頭部構成はキハ283系気動車などと同様ですが、前頭部の造型は正面下部の絞り込みや後退角が小さく、スカートはキハ201系気動車などと同様の幅の広い形状です。灯火類は前照灯と補助灯を横配列で一体化したものを正面下位の左右に設けるほか、運転台直上にも前照灯が設けられており、標識灯は運転台の風防内部に左右各1灯が設置されています。
 外部塗色は前頭部と客用扉周囲がコバルトブルー、塗装境界部に萌黄色(ライトグリーン)の帯が配され客用扉の窓周りから車体の戸袋部までの部分は黄色で、前頭部側面には "Tilt261 Active Air Suspension System" のロゴマークが配されています。正面の愛称表示器・側面の行先表示器はともに幕式で、号車表示・設備表示を一体化したプレートが客用扉付近に表示されています。車両のデザインはデンマーク国鉄 (DSB) と共同制作されたものとなっています。
 座席はフリーストップ式のリクライニングシートで、普通車の座席モケットは車両ごとに色調を赤・緑・青のいずれかで統一されており、バリアフリー対応として、車椅子など移動制約者対応の座席・トイレをキハ260形100番台に設置するほか、各車両の客用扉にはドアチャイムを装備しています。グリーン室の座席は表地が青色の牛革張り、肘掛は難燃加工の木製で横1+2列の3列配置となっています。床の敷物は菱形模様(ダイヤゴナルパターン)が施され、客室窓は中央に縦棧が設けられ、ロール式のカーテンを装備しています。室内の仕切扉はタッチセンサー式とされています。
SE-200編成
 基本編成の稚内方に使用する編成で、キロハ261形+キハ260形の2両で構成されており、各形式とも1998年・1999年に201~203の3両が製作されました。
キロハ261形200番台(201~203)

  キロハ261形200番台 キロハ261形200番台

 稚内方の先頭車で、前面の貫通扉に幌を備えています。グリーン室(9席)/普通室(28席)の合造車となっており、普通室の座席は青色で車販準備室を備えています。
キハ260形200番台(201~203)

  キハ260形200番台

 中間に組成される普通車(60席)で、座席は赤色で、洋式トイレと洗面所、電話室を備えています。このほか、札幌方に簡易運転台を設けて、車両基地等での入換・編成の増解結に対応していますが、保安装置を装備していないため本線の運転は不可能となっています。
SE-100編成
 基本編成の札幌方に使用する編成で、キハ260形+キハ261形の2両で構成されており、各形式とも1998年~2001年に101~104の4両が製作されました。
キハ260形100番台(101~104)

  キハ260形100番台

 中間に組成される普通車(51席)で、座席は緑色となっており、車掌室・移動制約者対応の諸設備を備えて洋式トイレ・洗面所と一部の座席を車椅子対応としています。このほか、稚内方に簡易運転台を設け、車両基地等での入換・編成の増解結に対応していますが、保安装置を装備しないため本線の運転は不可能でとなっています。
キハ261形100番台(101~104)

  キハ261形100番台

 札幌方の先頭となる普通車(56席)で、座席は青色となっています。
1000番台
 石勝線・根室本線系統の特急「とかち」で使用されてきたキハ183系気動車を取替えるため、2006年(平成18年)に製作された区分で、製作には車体構体と台車を川崎重工業から購入して、搭載機器や内装などの艤装作業は苗穂工場で行われるというノックダウン方式が採られました。初年度は13両が製作され、2007年10月から特急「スーパーとかち」で使用が開始され、2009年(平成21年)10月のダイヤ改正で「スーパーとかち」の増発に対応するため、同年に増備車が製作されました。
 軽量構造のステンレス車体はビード加工はなされず、ダルフィニッシュ仕上げが施され、前頭部の形状は789系電車とほぼ同一の正面下部の絞込みを大きくした意匠に変更されました。灯火類は前照灯・補助灯を縦に配置する789系電車と同一の配置で、前頭部以外の車端部には転落防止幌が追設されました。車体の外部塗色は、客用扉窓~戸袋部周囲の配色を基本番台の黄色から橙色に変更しています。
 先頭車+中間車の2両を1ユニットとする構成は基本番台と同一ですが、本区分の車両増結は編成の端ではなく編成の中間に差し入れる運用形態をとるため、増結用の車両は運転台をもたない中間車とされました。増結用の中間車は6両まで連結でき、最大10両編成での使用が可能です。先頭車を介した増結は考慮されず、本区分では先頭車の自動幌と中間車の簡易運転台は共に準備工事のみとしていおり、789系などと同様に先頭車キハ261形・キロ261形の前位側客用扉に隣接して車掌台が設けられ戸閉スイッチなどの車掌用操作機器が備えられています。
 グリーン室は1両全車に拡大され、普通車の座席モケットが赤色と青色の2種類となっている他はその他の室内設備は基本番台とほぼ同一となっています。客室窓は当初から強化ガラス板とポリカーボネート板を合わせた複層構造です。正面の愛称表示器は幕式となっていますが、側面の行先表示器はLED式に変更され、列車名・行先・号車表示・設備表示を一体化して表示されています。
キロ261形1100番台
 帯広方の先頭となるグリーン車で、札幌方に多目的室・車販準備室・業務用室があり、座席は24席となっています。
キハ260形1100番台
 中間に組成される普通車で、座席は50席で緑色、札幌方に車掌室・業務用室が設置され、簡易運転台は準備工事のみとなっています。本形式は移動制約者対応の諸設備として、帯広方にトイレ(車椅子対応洋式+男子用)と車椅子対応座席、出入台に隣接して車椅子スペースが設けられています。
キハ260形1300番台
 増結用として中間に組成される普通車で、座席は60席で青色となっています。車内配置はキハ260形1200番台と同一となりますが、電話室の代わりに荷物置場が設けられ、簡易運転台は装備していません。
キハ260形1200番台
 中間に組成される普通車で、座席は60席で緑色でとなっています。札幌方にトイレ(共用洋式+男子用)、帯広方に電話室が設けられており、簡易運転台は準備工事のみなされています。
キハ261形1200番台
 札幌方の先頭となる普通車で、座席は56席で青色である。

キハ281系気動車
キハ281系気動車

基本データ

●起動加速度 ---
●営業最高速度 130km/h
●減速度(常用最大) ---
●設計最高速度 145km/h
●編 成 ---
●編成定員353名(7両編成)
●編成出力 ---

●製造メーカー 富士重工業・日本車輌製造

概 要

 1991年から着手された札幌~函館間の高速化事業にあわせてJR北海道が開発した特急形振子式気動車で、JR北海道が1992年(平成4年)から製作したされました。JR四国の2000系気動車の仕様を基に設計され、試作車として1992年1月に先頭車2両、同年10月に中間車1両が製作され各種試験に供されました。1993年から富士重工業と日本車輌製造で量産に移行し、1994年3月1日に札幌~函館間の特急「スーパー北斗」として営業運転が開始されました。
 日本国内の在来線気動車において、最高速度130km/hでの営業運転を初めて行った系列で、札幌~函館間を従来のキハ183系気動車から約30分短縮し、最速3時間00分で連絡しています。
 1994年に通商産業省グッドデザイン商品(現・日本産業デザイン振興会グッドデザイン賞)選定、1995年に鉄道友の会ローレル賞を受賞しました。

運用の変遷・現況

 本系列の投入により最高速度130km/h運転が可能となったのみならず、曲線通過速度の向上により札幌~函館間で従来38%だった最高速度運転区間は56%にまで拡大し、運転時分の短縮に大きく寄与することとなりました。27両が使用され、7両編成を基本とした3本が組まれて函館運輸所を基点に運用されています。
 ■「スーパー北斗」(函館~札幌、1日5往復:1・3・6・9・10・12・13・15・18・22号)
 ■「ホームライナー」(手稲~札幌・回5005D)
 「スーパー北斗」15号は函館→札幌を3時間00分で結ぶ最速列車で、 106.2 km/h の表定速度は日本の在来線ではもっとも速いものとなっています。
 従来より「北斗」系統と競合していた新千歳空港~函館空港間の航空便は、本系列の運転開始時点で定期便3往復を運航していたが、2010年6月30日でエアーニッポンネットワークが丘珠空港撤退することに伴い、同年7月1日からは新千歳空港~函館空港間は5往を復を運航しています。
 キハ283系と1両単位での連結が可能で、多客時の増結や本系列の検査時などでしばしば実施されているますが、混結時の振子作用時の車体最大傾斜角は本系列に合わせた 5°となります。「スーパー北斗」用に投入された後の増備は改良型のキハ283系に移行し、本系列の製造は27両で終了となりました。

形式別概説

 JR北海道が本系列以降に開発した特急形車両は、全てこの前頭形状を採用されています。先頭車の出入台は前頭部貫通路に接続しており、貫通扉には作業時の前方監視用にワイパー付の扉窓が設けられ、貫通路と出入台との間は開放されており、副次的に乗客の前面展望が可能とされていました。客用扉は気密性の高いプラグドアとされています。
 外部塗色は前頭部と客用扉周囲をコバルトブルー、ステンレス地の無塗装部分との境界を萌黄色とし、側窓周囲は窓柱を黒くした連続窓風のデザインでです。前頭部側面には車両形式名と振子機能をイメージした「FURICO 281」のロゴマークとリサージュ図形が配されています。
 前頭部側面のロゴマークは、現在までに以下の変更を経ています。
 ■HEAT 281 (Hokkaido Experimental Advanced Train)
  試作車落成時(1992年~)

 ■HEAT 281 (Hokkaido Express Advanced Train)
  営業運転開始時(1994年~)同時にロゴのデザインも変更されました。

 ■FURICO 281
  789系電車投入時(2002年~)キハ283系と共通のイメージです。

 内装は785系電車の様式を踏襲し、フリーストップ式のリクライニングシートが装備され、車内客室出入口上部にLED式の案内表示装置が設置されています。グリーン車の座席は2+1列の3列シートで、重心のバランスをとるために車体中央で配列が逆転し、点対称となっています。グリーン車ではラジオ放送・BGMが標準で装備され、普通車でもFMラジオで聞くことができます。
 トイレは洋式であり、試作車で循環式と真空式の汚物処理装置の比較試験を行い、量産車では真空式とされました。
 JR北海道の車両では初めて自動放送装置が装備され、車内放送のメロディにはJR北海道のオリジナルチャイムを搭載し、自動案内放送・車掌放送・運転抑止などのパターンがあり、以降のJR北海道特急形車両の多くに採用されました。2006年3月18日からは、自動放送チャイムに「アルプスの牧場」「ハイケンスのセレナーデ」「鉄道唱歌」が追加され、同時に車内案内表示器も英語による案内を開始されています。
キハ281形

  キハ281形キハ281形

 運転台付の普通車で、客用扉は片側2か所に設置されています。
試作車 (901・902)
 901は函館向き、902は札幌向きの先頭車で、先頭部貫通扉は小型の扉窓が設けられ、ワイパーを装備していません。一部のドアの色が異なり、排障器(スカート)は落成当初ライトグレーでしたが、すぐに車体同色に変更されました。洋式トイレと男子用トイレが設置され定員は48名となっています。
量産車 (1~6)
 1・3・5 は函館向き、2・4・6 は札幌向きの先頭車で、正面貫通扉窓が大型化され、専用のワイパーが追設されました。座席の手摺の形と、男子用トイレの形状が異なる以外は、試作車とほぼ同じ仕様となっています。

キハ280形
 編成の中間に組成される、運転台のない普通車で、客用扉は片側1か所に設置されています。
試作車 (901)
 定員は60名で、トイレ・洗面所は設置されず、荷物置き場があります。肘掛け部分は黒色で、手すりの形も量産車とは異っています。
100番台 (101~110)

  キハ280形 100番台

 試作車とほぼ同じ仕様で製作された量産中間車で、定員は60名で、トイレ・洗面所は設置されていません。
基本番台 (1~4)

  キハ280形

 車椅子対応の車両で、札幌側に車椅子対応の座席とトイレがあります。定員は51名で、男子用トイレ・多目的室・テレホンカード式公衆電話が設置されています。

キロ280形

  キロ280形

 運転台のないグリーン車で、 1~4 の4両が在籍しています。座席数は26席で、配置は横1+2列、中央で配置が逆転します。各座席にはラジオ放送・BGMのオーディオパネルを装備しています。車内販売準備室、喫煙コーナー、車掌室、男子用トイレと洋式トイレ、テレホンカード式公衆電話が設置されていましたが、公衆電話については2009年9月30日で取り外されました。キロ280-1 のみ出入り口付近に車両製造所プレートがあり、グリーン車マーク表記が異なるなどの差異があります。

改 造

側窓保護改造
 氷塊落下による側窓破損防止のため、2001年から全車に側窓の外側にポリカーボネート製の保護ガラスを設け側窓保護改造が行われました。
ラッピング広告施工車両
 2004年にはNHK大河ドラマ『新選組!』のラッピング広告が試作車2両を含む一部車両に施されましたが、同番組の放映終了後にラッピングは撤去されました。
重要部品取替工事
 2005年から本系列全車を対象に、客室の案内表示器の改造、側面行先表示器・正面愛称表示器の汚れ落し、再塗装などが実施されました。先頭車は前照灯をHID灯に交換され、普通車の座席モケットが従来の紫から青に変更された車両もあり、試作車ではトイレ設備の更新も行われました。

キハ283系気動車
キハ283系気動車スーパーおおぞら キハ283系気動車スーパーとかち キハ283系気動車スーパー北斗

基本データ

●起動加速度 ---
●営業最高速度 130(曲線通過+30km/h)km/h
●減速度(常用最大) ---
●設計最高速度 145(曲線通過+40km/h)km/h
●編 成 ---
●編成定員293名(6両編成)
●編成出力 355PS(N-DMF11HZA) ×2
●製造メーカー 富士重工業・JR北海道苗穂工場

概 要

 第三セクターの道東高速鉄道開発(現在は北海道高速鉄道開発)によって1994年から着手された石勝線・根室本線(南千歳~釧路間)の高速化事業に合わせ、JR北海道が1995年から製作した特急形気動車で、キハ281系気動車の発展形として開発された振子式気動車です。 営業最高速度は130km/h、設計最高速度は145km/hとなっています。1995年に試作車が完成し、翌1996年から量産され2001年まで製作されました。1997年3月に営業運転が開始され、当初は特急「スーパーおおぞら」で運用されていましたが、現在では「スーパー北斗」、「スーパーとかち」の一部でも使用されています。
 製造元は試作中間車のキハ282-2001のみJR北海道苗穂工場、他は全車富士重工業で製造されています。

運用の変遷・現況

 1995年に先頭車2両、1996年に中間車1両が試作され、長期試験に供されました。同年に量産車20両(1次車)が製作され、1997年3月22日のダイヤ改正から 特急「スーパーおおぞら」で営業運転が開始されました。
 1998年に「スーパー北斗」増発用に12両(2次車)が増備されたほか、同年下期に「スーパーおおぞら」増発用として4両(3次車)が、1999年に4両(4次車)が製作され、2000年には「スーパーとかち」にも投入されました。
 更に2001年には20両(5次車)が増備され、札幌~釧路間の特急「おおぞら」は、夜行列車を除いてすべて本系列で「スーパーおおぞら」に置き換えられることとなりました。
 運用開始以来全車を札幌運転所に配置されていましたが、2007年10月に半数の31両を釧路運輸車両所に転属し、以下の列車で使用されています。
 ■「スーパーおおぞら」(札幌~釧路)
 ■「スーパーとかち」(札幌~帯広)5・8号
 ■「スーパー北斗」(札幌~函館)2・16・7・21号
 ■「ホームライナー」(手稲~札幌)回4003D
 本系列の使用開始直後は列車1編成の最大連結可能両数は9両でしたが、乗車率の高さから増結が常態化したため、振子動作を指令・制御するコンピュータを改良し、現在では最大11両編成まで組成が可能となっています。
 本系列はキハ281系と相互連結が可能ですが、編成全体の各機能はキハ281系の仕様に合わせて制御され、振子作用時の車体最大傾斜角はキハ281系に合わせた5°となります。実際の運用では、「スーパー北斗」の運用においてキハ281系編成に本系列車両を増結車として組み込む運用が恒常的に行われていますが、「スーパーおおぞら」「スーパーとかち」の運用ではキハ281系との混結は行われていません。
 構造が複雑で製作や保守にかかるコストが大きいことや、製造メーカーの富士重工業が鉄道車両部門から撤退(新潟トランシスに事業譲渡)したことなどが理由で本系列は2001年以降製作されていません。多数が残存するキハ183系気動車の置換えにあっては、近年では運用コストの最適化を図ったキハ261系の製作によって賄われています。

形式別概説

 登場当初のキハ283系は1編成単位での運用を前提としていたため、形式番号は、製作当初は運転台の有無にかかわらずトイレ付きを283形式、トイレなしを282形式として、同形の車両であっても編成内の連結位置によって番台区分がされていました。 しかし、「スーパーおおぞら」は列車の増結が常態化したことや、「スーパー北斗」「スーパーとかち」等への車両運用の拡大によって1編成単位での運用が次第に困難となったため、2001年に運転台付き車を283形式・運転台無し車を282形式に改め、異番台の同仕様車は通し番号に改番され、2001年製の5次車は当初から新形式番台で落成しています。
 キハ281系と同様の軽量ステンレス製で、前頭部のみが普通鋼製でとなっています。霧の発生日数が多い根室本線を走行するために増設された前照灯はHIDが採用されました。外部塗色は前頭部と客用扉周囲はコバルトブルー、ステンレス地の無塗装部分との境界は萌黄色、客用扉の窓周囲は赤とされ、側窓周囲はキハ281系と異なり無塗装のままとなっています。 前頭部側面には形式名と振子機能をイメージした「FURICO 283」のロゴマークとリサージュ図形が配されています。
 座席はフリーストップ式のリクライニングシートで、片持支持方式となったため足元が広くなました。座席モケットの色調は、標準では釧路方面を象徴する「タンチョウ」柄入りのグレー地、背ずりのつかみ手は赤となっていますが、「スーパー北斗」に投入された1998年製(2次車)の普通車は、座席モケットの色がキハ281系同様の紫に、背ずりのつかみ手がグレーに変更されました。トイレの汚物処理装置はキハ281系と同様の真空式が採用されています。
 自動放送チャイムはキハ281系と同じ仕様で、側面の行先表示器と先頭車前面の愛称表示器は従来の電照式方向幕からLED式とされました。2001年製の5次車は、客用扉にドアチャイムが装備され、デッキと客室、連結部の仕切扉の動作を従来の人感式からタッチセンサー式に変更されたほか、普通車の座席テーブルや肘掛けを大型のものに変更しています。
キハ283形
 編成の先頭または中間に組成される運転台付の普通車で、客用扉は片側2箇所に設置されています。
■900番台 (901, 902)
 先行試作車で、試運転時はそれぞれ釧路向き、札幌向きに分かれていましたが、「スーパーおおぞら」運転開始後は、2両とも札幌向きとなっています。客用扉周囲の塗装パターンが量産車と異なり、ライトグリーンと赤を交互に配した塗り分けとされ、前照灯ケーシングの形状も量産車と異なっていました。内装ではトイレのドアの色が黄緑色、客室の床の模様が異なっています。洋式トイレと男子用のトイレを設置しており、定員は48名です。
■基本番台 (1~21)

  キハ283形キハ283形

 1~5・12・14~17が釧路向き、6~11・13・18~21が札幌向きの先頭車となります。基本的には試作車と同じで、洋式トイレと男子用のトイレを設置されており、定員48名となっています。
 6~14は旧形式キハ283-101~109から改番され、4・5・9・10は1998年製の2次車で、紫色の座席モケットで落成しました。2007年10月改正での札幌運転所から釧路運輸車両所への一部転属に伴い、14・16・19の方向転換が実施されました。
キハ282形
 編成の中間に組成される運転台のない普通車で、客用扉は片側1箇所に設置されています。一部は簡易運転台が設けられ、番号で区分されています。
■基本番台 (1~8)

  キハ282形

 車椅子対応の車両で、札幌側に車椅子対応の座席とトイレがあり、定員は51名となっています。ほかに、男子用トイレ・多目的室・2009年9月30日までテレホンカード式公衆電話が設置されていました。
 1~5は 旧形式キハ283-201~205から改番され、4は1998年製の2次車で、紫色の座席モケットで落成しました。
■100番台 (101~111)

  キハ282形 100番台

 札幌側に荷物置き場と喫煙コーナー兼ミニラウンジが設けられ、トイレ・洗面所はありません。定員は64名となっています。
 103~105は旧形式キハ282-1~3、106・107は旧形式 キハ282-1001・1002 から改番されました。
■2000番台 (2001~2009)

  キハ282形 2000番台

 途中駅等における付属編成の増解結を想定てし、釧路側に保安装置付きの簡易運転台が備えられており、付属編成の先頭車として本線での運転が可能となっています。札幌側に荷物置き場と喫煙コーナー兼ミニラウンジが設けられ、トイレ・洗面所はありません。定員は60名で、他の設備は100番台と同一となっています。
 2001は本系列唯一の苗穂工場製となっており、2003・2004は1998年製の2次車で、紫色の座席モケットで落成しました。
■3000番台 (3001~3004)

  キハ283形 3000番台

 2000番台と同一の車体構造ですが、簡易運転台は準備工事のみで運転台窓部分に塞ぎ板が填められています。札幌側に荷物置き場と喫煙コーナー兼ミニラウンジが設けられ、トイレ・洗面所はありません。定員は60名で、他の設備は100番台・2000番台と同一となっています。
 全車とも1998年製の2次車で、紫色の座席モケットで落成しました。
キロ282形

  キロ282形

 中間に組成される運転台のないグリーン車で、1~8の8両が在籍しています。座席数は26席で、配置は横1+2列、中央で配置が逆転しています。各座席はリクライニング、レッグレスト、カーテンなどの操作が電動化され、ヘッドホン式オーディオ、1人がけ座席のみパソコン用電源などの装備も搭載されています。荷物棚には蓋が設けられていましたが、後年に順次撤去されました。車端部には、カード式の公衆電話・車内販売準備室・車掌室・男子用 および 共用洋式トイレ・喫煙コーナーがあります。
 1~5 は旧形式 キロ283-1~5 から改番されました。

改 造

側窓強化改造
 酷寒地での高速運転により、車体に付着した氷塊が走行中に落下し、跳ね上げたバラストが側窓を破損する事例が多発したため、防止策として2001年から側窓の外側にサッシを設け、ポリカーボネート製の透明保護カバーを填め込むという側窓保護改造が全車に行われ、側面の外観が大きく変化しました。2001年製作の5次車は、当初から保護カバー付で落成しましたた。
ハイブリッド車体傾斜システム試験
 2006年3月、キハ283系の振子装置とキハ261系の車体傾斜システムを組み合わせたハイブリッド車体傾斜システムの開発が川崎重工業・鉄道総合技術研究所などと共同で行われました。キハ283系の振子装置による6度+キハ261系の車体傾斜装置による2度の傾斜で車体を8度まで傾斜でき、制限速度90km/hのカーブを140km/hで通過可能とされています。この試験に使用された先頭車は試運転終了後すぐに定期運用に復帰、ハイブリッド台車を装着したキハ282-2007は苗穂工場で元に戻されたのち定期運用に復帰しています。
室内設備改装
 2006年3月18日のダイヤ改正で北海道内完結の特急列車を全車禁煙とするため、キロ282形の喫煙コーナー・キハ282形100・2000・3000番台のミニラウンジ内灰皿を撤去して携帯電話使用スペースに変更する改造が行われました。また、キハ282形基本番台ではカード式公衆電話を撤去し、業務用スペースとしています。同時に自動放送が更新され、「アルプスの牧場」「ハイケンスのセレナーデ」「鉄道唱歌」のチャイムが流されるようになり、同時に車内案内表示器で英語による案内が開始されています。
座席改装
 「スーパー北斗」用に投入された1998年製作の2次車について、当初装備の紫色モケットを標準仕様のタンチョウ柄への交換が順次実施されています。
 また、2006年12月17日から、座席幅の拡大・背もたれ枕の設置・快速「エアポート」などに設定されている「uシート」と同様なチケットホルダーなどの設備を導入し居住性の向上を図るため、普通車指定席の座席改装が開始されました。キハ283形の施工車では、1番AB席を撤去し大型荷物置場が設置され、定員は46名に改められました。