こ【鉄】ちゃん
我が青春の集大成ともいえるJR北海道に遥か彼方、四国から熱きオマージュを捧げ、基本的なデータをまとめてみました。
気動車1
キハ54形気動車 |
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基本データ
●起動加速度 ---
●営業最高速度 【温暖地型】95km/h【酷寒地型】95km/h→110km/h
●減速度(常用最大) ---
●設計最高速度 ---
●編 成 ---
●編成定員【温暖地型】68(席)+ 80(立)= 148名【酷寒地型】70(席)+ 30(立)= 100名
●編成出力 ---
●製造メーカー ---
概 要
国鉄が1987年の国鉄分割民営化に先立ち、経営困難が予想された北海道・四国・九州の経営基盤整備を目的として、民営化直前の1986年から製作した一般形気動車です。
全長 21m 級の両運転台式一般形気動車で、北海道向けの酷寒地仕様、四国向けの温暖地仕様の2種が計画され、国鉄最終年度の1986年に新潟鐵工所(現・新潟トランシス)と富士重工業の2社で合計41両が製作されました。耐候性に優れ、塗装工程省略などのメンテナンスフリーや軽量化目的のほか、製造コストが下がってきていたステンレス製軽量車体の採用、勾配や積雪に耐える性能を得るためのエンジン2基搭載など、地域の実情に応じた装備が施されています。一方、在来車の廃車発生部品の再利用やバス用の汎用部品を用いるなどの製作コストの適正化に留意されています。
構造簡素化のため幅広車体とはされずに車体裾は絞りのない直線形状で、側面窓上下には外板歪みを防ぐビード加工がなされています。運転台をワンマン運転時の乗降監視を容易にするため低運転台とし、車体の前後に設ける両運転台式で、客用扉は車体両端に片側2扉を配置しています。四国向けの温暖地型(キハ54 1~)と北海道向けの酷寒地型(キハ54 501~)の2種が製作され、各部の仕様・形態には相応の差異があります。
運用の変遷・現況
北海道仕様車
製造当初は苗穂運転所や函館運転所にも配置されましたが、現在は気象条件が厳しく、長距離運用の多い道北・道東で主に運用され、釧路運輸車両所・花咲線運輸営業所・旭川運転所・宗谷北線運輸営業所(名寄市)に配置されています。
旭川運転所配置車
■宗谷本線
■留萌本線
■函館本線(旭川~滝川)
■石北本線
宗谷北線運輸営業所配置車
■宗谷本線(全区間)
釧路運輸車両所・花咲線運輸営業所配置車
■釧網本線
■根室本線(音別~釧路・花咲線[釧路~根室])
■石北本線(金華~網走)
形式別概説
北海道仕様車
酷寒地で使用する区分として、1986年に29両 (501~529) が製作されました。過酷な気象条件の中での運用に備え、随所に耐雪・凍結対策が施され、排雪走行や動物との衝突などを考慮し運転台下にはスカートが装備されています。
室内は出入台と客室を仕切るデッキ仕切扉を設けられていますが、仕切り上半をガラス張りとしてワンマン運転時の運転士の車内監視を助けています。製作当初の座席配置は、バケット式ロングシートとしたセミクロスシートとし、トイレを設置して長距離乗車に適応させています。冷房装置は装備せず扇風機のみを室内に設置しており、暖房装置は機関冷却水を利用した強力な仕様となっています。
急行仕様 (527~529)
旭川~稚内間の宗谷本線急行「礼文」専用車として3両製作されました。0系新幹線電車の廃車発生品である転換クロスシートを当初から装備しましたが、窓割りが一般仕様車と同じなので、窓と座席が合っておらず窓側でありながら景色を見ることができない席もあります。識別のため、窓上に赤帯が追加されています。「礼文」での運用を主として、間合いで快速・普通列車運用にも充当されたりもしましたが、2000年3月ダイヤ改正で「礼文」が廃止されたため、以後は他のキハ54形500番台同様に運用されています。
改 造
■鹿笛追設
警笛は在来車と同様のタイフォンを装備していましたが、エゾシカなど野生動物との衝突事故が多発する路線事情に対応するために、「鹿笛」と呼ばれる甲高い音色のホイッスルに交換されています。
■座席交換
観光客や長距離客に配慮して、キハ183系からの発生品である簡易リクライニングシートに座席を交換されました。回転機構をもたない集団見合型座席配置となり、対面部分は間隔を広く取ってテーブルが設置されています。釧路運輸車両所所属の花咲線用の車両はさらに再交換を実施して、海峡線用のオハ50系から転用した転換クロスシートを装備しています。
これら座席交換のなされた車両は、いずれも窓と座席の間隔は一致していません。
■機器更新
駆動系の主要機器について、流用部品(廃車発生品)を更新する工事を2003年~2005年に実施し、施工後は自重が約 1t 軽くなり、最高速度は 110km/h に引き上げられましたが、使用線区の現状を検討し最高速度 95km/h のまま運用されています。
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キハ141系気動車 |
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基本データ
●起動加速度 ---
●営業最高速度 ---
●減速度(常用最大) ---
●設計最高速度 ---
●編 成 ---
●編成定員---
●編成出力 ---
●製造メーカー ---
概 要
JR北海道に所属する一般形気動車で、制式の系列呼称ではなくキハ141形、キハ142形、キハ143形およびキサハ144形を総称したものです。札幌市周辺の人口増加により、沿線の都市化が急速に進んだ札沼線(学園都市線)の輸送力増強を目的として、電車や気動車への置き換えで余剰となっていた50系客車(オハフ51形)を改造して1990年から投入されました。客車の気動車化改造は、根本的な強度構造の違いや車体重量の違いから国鉄・私鉄ともにほとんど成功例がありませんが、本系列は一定以上の成果を引き出し、オハフ51形の2/3が本系列に改造され4形式で合計44両が製作されました。客車から気動車への改造車としては日本最多で、客車(Passenger Car)改造のディーゼル動車(Diesel Car)であることからPDCとも呼ばれています。
他系列と同様に、車体にコーポレートカラーの萌黄色の帯が描かれていますが、、外板の地色は白ではなくライトグレーとなっています。車内設備は客車時代のセミクロスシートが残されていますが、輸送状況を考慮し、クロスシート部分を2列+1列の3列化にし、ロングシート部分の増設が行われています。客室窓については客車時代のまま1段上昇式2重窓をそのまま用いられています。
運用の変遷・現況
全車が苗穂運転所に配置されており、札沼線の普通列車として札幌~北海道医療大学間で本系列単独で運用されるほか、キハ40形300番台・330番台やキハ48形300番台・1330番台と連結して運用されることもあります。また、キハ141形・キハ142形は冷房がないため、基本的に夏季は朝と夕方以降のみの運用となっています。「バーベキューカー」ナハ29000形を中間に連結した運用など団体臨時列車に使用されることも多く、中間にマヤ34形などの事業用客車を連結した事業用列車として道内各地で運転されることもあります。
形式別概説
キハ141形
1990年から14両(1~14)が製作されました。通常はキハ142形の同一番号の車両とペアを組み、運転台は札沼線での札幌方を向いています。運転台側の客用扉直後にトイレが設置されていますが、冷房装置は搭載されていません。最高速度は95km/hとなっています。
キハ141-1は先行試作車で、1992年に苗穂工場で量産化改造が行われましたが、2005年3月に廃車され、2009年現在では13両が在籍しています。
キハ142形
1990年から1994年にかけて15両(1~14、201)が製作されました。通常はキハ141形の同一番号の車両とペアを組み、運転台は石狩当別方を向いています。トイレは改造時に撤去されて採光窓は埋められています。冷房装置は搭載されていません。最高速度は95km/hとなっています。114と201には、キハ143形・キサハ144との編成組成時に両形式のボタン開閉式半自動ドアを制御する機能が付加されています。
キハ142-1は先行試作車で、1992年に苗穂工場で量産化改造が行われましたが、2005年3月に廃車され、2009年現在では14両が在籍しています。
キハ143形
キハ141形・キハ142形の増備にあたり、キハ150形の駆動システムを用いて性能強化した形式で、1994年から1995年にかけて11両(101~104、151~157)が製作されました。100番台はトイレなし、150番台はトイレ設置の車両で、最高速度は110km/hとなっています。キハ141形・キハ142形とは異なり、ラッシュ対策としてデッキ仕切り部のドアを撤去してあるため、冬期の保温対策のためボタン開閉式の半自動ドアを装備しており、1995年の改造当初から冷房が設置されていた156・157以外の車両は当初は非冷房でしたが、1995年から1996年にかけて冷房設置改造が行われ全車両が冷房車となりました。
キサハ144形との3両ユニットの場合、基本的に札幌方に150番台、石狩当別方に100番台を連結されますが、キハ143-157のみは他の150番台と逆向きの石狩当別方を向いています。
キサハ144形
1994年に4両(101~103、151)が製作された中間付随車で。動力を持たないため当初はキハ141形・キハ142形の編成に組み込まれていましたが、現在では基本的にキハ143形とセットで運用されています。
改造当初は1両にトイレが残されており、150番台(151)と付番されていましたが、1995年にトイレが撤去され100番台に統合されました。当初は非冷房でしたが、2001年に冷房が搭載されました。
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キハ150形気動車 |
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基本データ
●起動加速度 ---
●営業最高速度 110km/h
●減速度(常用最大) ---
●設計最高速度 ---
●編 成 ---
●編成定員【0番台】49(席)+68(立)=117名【100番台】49(席)+66(立)=115名
●編成出力 450ps/2,000rpm
●製造メーカー 富士重工業
概 要
JR北海道が勾配多雪区間での単行運転を考慮して開発し1993年から製作した高出力機関装備の両運転台式気動車です。JR北海道では地域輸送用の車両として、国鉄時代に製造された気動車を大量に継承しましたが、老朽化による取替えと冬季積雪時の運行において単独運転が可能な車両の必要性から、これらを解決するために高出力機関を搭載して動力性能が向上した本形式が開発されました。北海道の一般形気動車で初めて冷房装置を搭載するなど接客設備の改善もされ、ワンマン運転設備の搭載、バス用汎用部品の採用など運用コストの適正化も考慮されました。
本形式は1995年までに27両が富士重工業で製作され、旭川・苗穂・苫小牧の各所に配置し地域輸送に使用されています。座席は客用扉の隣接部をロングシートとしたセミクロスシートで、クロスシート部は1+2列の3列配置です。従来の北海道向け車両で設けてあった客室と出入台との間の仕切り扉を本形式ではこれに代わる寒冷対策として、座席の客用扉隣接部に樹脂製の袖仕切りを設け、客用扉は押ボタン式の半自動ドアとして開放時間を最小限にできるようにしており、基本番台では冷房装置を搭載しています。循環式汚物処理装置付のトイレが出入口付近に設けられ、隣接して車椅子スペースを備えています。また、運賃箱などワンマン運転用の各種設備も当初より装備しています。
運用の変遷・現況
基本番台
1~10の10両が旭川運転所に、11~17の7両が苗穂運転所に配置され、それぞれ以下の区間で使用されています。
旭川所属車
■富良野線(旭川~美瑛~富良野)
■根室本線(富良野~帯広)【快速「狩勝」】
■留萌本線(深川~留萌~増毛)
苗穂所属車
■函館本線(長万部~札幌)
100番台
全車が苫小牧運転所に配置され、以下の区間で使用されている。
■室蘭本線(長万部~苫小牧、室蘭~東室蘭)
■函館本線(長万部~倶知安~小樽)
冷房装置を備えていない100番台の函館本線での使用は冬季のみで、積雪時の運転において線路上の排雪を容易にし、勾配も多い同区間での定時運行を確保するため通常使用するキハ40形の代替として使用されています。
形式別概説
基本番台 (1~17)
1993年に10両、1995年に7両が製作されました。客室窓は大型の固定窓で、冷房装置が搭載されています。定員は117名で、側面帯と客用扉の配色は配置箇所によって異なり、旭川運転所の車両はラベンダーをイメージしたライトパープル、苗穂運転所の車両はスカイブルーと萌黄色となっています。
100番台 (101~110)
1993年に10両が製作されました。客室窓が小窓に変更され、上半分を内傾式で開閉可能な機構とし、車体構造の設計を変更し外壁厚さを増したため定員は115名と減少しています。冷房装置は装備されず、客室天井にはクールファンが設けられています。
※空気バネ圧制御式車体傾斜装置の供試車として本形式が使用され1996年頃から試験を行い、後のキハ201系で実用化されました。
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キハ201系気動車 |
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基本データ
●起動加速度 ---
●営業最高速度 130km/h
●減速度(常用最大) ---
●設計最高速度 ---
●編 成 3両固定
●編成定員---
●編成出力 ---
●製造メーカー ---
概 要
JR北海道が近郊形電車と同等の性能をもち、電車と総括制御が可能な一般形気動車として731系電車と同時期に製作され、1997年3月22日に営業運転を開始しました。本系列は小樽以西からの札幌駅直通列車の改善を図り、函館本線小樽~札幌間の輸送改善計画のため開発されたもので、非電化区間と電化区間の直通運用を、電車と同等のダイヤで設定できる動力性能を有しています。
運転台付きのキハ201形100番台・300番台、中間車のキハ201形200番台で3両の固定編成を組み、トイレは中間車の200番台に設置されています。車内はすべてロングシートで、客用扉隣接の座席は跳ね上げて壁面に格納できる構造とされ、乗降の円滑化を考慮しデッキが廃止され、これに代わる寒冷対策として客用扉部のエアカーテン、遠赤外線暖房装置、ボタン開閉式の半自動ドアを装備するなど731系電車と同様となっています。3両編成4本の12両が製作されましたが、高性能ゆえの製造コストの高さなどもあり、その後の増備はされていません。
また、のちに登場したキハ261系特急形気動車は本系列を基本に設計されました。
運用の変遷・現況
苗穂運転所に全12両が配置されており、3両編成単独または2本の編成を連結した6両編成で使用されています。
小樽以西での運用は、導入当初より朝夕通勤時間帯における上り1本(札幌→倶知安)、下り2本(蘭越・倶知安→札幌)にとどめられており、実際には札沼線の札幌~北海道医療大学間において日中を中心に多く運用されているほか、函館本線手稲~江別間での運用も存在しています。一部、あいの里教育大・北海道医療大学~江別間の普通列車として札沼線から函館本線への直通運転が行われているほか、普通列車以外にも快速「ニセコライナー」と、一部の区間快速いしかりライナーにも運用されています。
また、ワンマン運転に対応していないため、他の気動車列車がワンマン運転を実施する函館本線蘭越・倶知安~小樽駅間においても車掌が乗務しています。
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キハ160形気動車 |
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基本データ
●起動加速度 ---
●営業最高速度 ---
●減速度(常用最大) ---
●設計最高速度 ---
●編 成 ---
●編成定員---
●編成出力 ---
●製造メーカー ---
概 要
JR北海道が保有する一般形気動車で、1996年1月に発生した踏切事故により廃車となったキハ130形(キハ130-5)の代替として、1997年に新潟鐵工所にてキハ160-1の1両のみ製造されました。その経緯により、新製気動車としては珍しい1形式(1系列・1グループ)で1両製造・在籍という特殊な存在となりました
キハ130形の弱点であった耐寒構造が大幅に強化されて北海道での運用に適応した仕様となっていますが、代替車という設計思考から、キハ130形と同様にワンマン運転に対応したセミクロスシート・トイレ付両運転台車となっています。踏切事故に備えた強化によって運転席窓の下部が前に張り出した造りが外観的特徴で、内装は先行して製造された大型車のキハ150形をモデルとしており、運用区間の気候条件から冷房装置は搭載されませんでした。また、同時期に開発された特急形気動車と共通した試行的要素を盛り込んでいることも特徴となっています。
2007年に、モータ・アシスト式ハイブリッドを搭載した試験車両「ITT (Innovative Technology Train) 」に改造され、10月23日に札幌市内の苗穂工場で報道公開されました。ディーゼルエンジンと発電機兼用の電動機を組み合わせて走行するのが特徴で、45km/h未満は電動機で走行し45km/h以上ではディーゼルエンジンも使用となっており、既存の気動車への改造取り付けも可能となっています。
当初キハ130形と同様の黄緑をベースに青にて塗装されていましたが、日高本線仕様車のキハ40形350番台と同様の青をベースにピンク帯に変更され、さらにITT化改造時にピンクの帯が若草色になり側面に「ITT」表記のカッティングシートが貼付されました。
運用の変遷・現況
雑誌などで保留車として現在までかなりの期間記載されていますが、実際は日常的にキハ40形350番台とともに日高本線全線で運用されており、名目上の保留車となっている珍しい例となりました。
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